税金

【図解】副業は事業所得か雑所得か?判定とメリット・デメリット

確定申告の際に所得の計算が必要となりますが、副業をしている場合に問題になるのが副業は事業所得に該当するのか雑所得に該当するのかの判定です。

事業所得の場合は、多くの税務上のメリットが認められていますが、雑所得の場合は税務上のメリットがあまり認められていません。そのため、事業所得か雑所得かによって所得の金額、所得税の金額は大きく異なってきます。

また、事業所得か雑所得かは個人が選択するものではなく、どちらにすべきか判断が伴うものとなるため慎重な対応が求められるためこの機会にしっかり抑えておきましょう。

それでは、副業の事業所得と雑所得の判定とそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

副業の事業所得と雑所得の判定

副業の所得分類(事業所得か雑所得か)の判定基準に明確なものはありませんが、過去の裁判事例や国税庁が示している判断を考慮すると、下記の3つの基準を総合的に検討して事業所得か雑所得か判定されます。


これら3つの基準について詳細を見ていきましょう。

①営利性、有償性

「営利性、有償性」とは適切な対価を受取っており、利益を得ることができる事業であることが必要となります。

例えば、親族等の特殊な関係にある者に対して、低廉な価格で商品を譲渡する場合など営利を目的としているとは言えない場合は、営利性を欠くものと判断されるでしょう。

また、費用の計上が多く利益が見込めない場合なども営利性を欠くものと判断される可能性があります。

②継続性、反復性

「継続性、反復性」とは、一時的なものではなく、その事業自体が継続的・反復的に営まれていることが必要となります。

判例では、事務所の移転に伴い受領した金銭は、事業の遂行により生じた収入ではなく、収益補償的な意味も持たないものであって、また、継続性のない一時的な収入あるから事業所得に該当しないと判断されたケースがあります。

通常の事業であれば仕入、営業、売上(販売)を繰り返すことになります。また、Webメディアの運営などの在庫を伴わない事業であっても、サーバーの維持費、記事の投稿、売上(広告収入)などが繰り返される場合は継続性、反復性が認められるでしょう。

単発発生の仕事は継続性、反復性が認められません。

③自己の危険と計算における企画遂行性

「自己の危険と計算における企画遂行性」とは、自身が事業を営むために行動していることです。

事業主が、事業を営み利益を追求するために行動し仕事に取組んでいることが必要となります。

①~③を総合的に検討

上記3つの基準を総合的に検討して客観的に事業を営んだ結果得た収入(事業所得)であるか、それ以外(雑所得等)かを判断することとなります。

営利を目的として、反復継続的に、自己の労力を費やしている場合は事業所得と言えるでしょう。ただし、最終的な判断は税務署になるため、雑所得やその他の所得に該当すると指摘される可能性はあります。

事業所得か雑所得か判断が分かれる可能性がある場合は、下記の事項を整理し税務調査などで十分に説明出来る状態にしておくことが望ましいでしょう。

①営利を目的としている根拠
②費やしている労力
③事業の計画性
④日々行っている業務 など

事業所得のメリット

事業所得に該当する場合には、どのようなメリットがあるのか雑所得との比較で見ていきましょう。

事業所得には雑所得と異なり、下記の5つのメリットがあります。

これら5つのメリットの詳細を見ていきましょう。

損益通算

損益通算とは、所得金額の計算上生じた損失のうち下記①~④の所得についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。

①不動産所得
②事業所得
③譲渡所得
④山林所得

要するに、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得が赤字となった場合に、赤字額を他の所得(給与所得など)から控除しても良いということです。

裏を返すと、上記の4所得以外の雑所得などが赤字であっても他の所得から控除できないということになります。

損益通算を図解すると次のようになります。

このように、損益通算が可能な所得は4つの所得に限られ、一定の順序に従い損益通算されます。

次に具体的な数値を用いて損益通算できる場合とできない場合を見ていきましょう。

例えば、事業所得が△50万円、給与所得300万円の場合、これらを合わせた総所得250万円に対して所得税が掛かります。事業所得がマイナスの場合は、他の所得から控除(損益通算)することができるのです。

一方で、雑所得が△50万円、給与所得300万円の場合、雑所得のマイナス分を他の所得から控除(損益通算)することが認められていないため、雑所得は無かったものとして給与所得300万円に対して所得税が掛かります。

事業所得は損益通算できるため、雑所得よりも優遇されていると言えるでしょう。

純損失の繰越控除

損益通算しきれない部分の金額を純損失と言います。

損益通算の図にもありましたが、純損失の金額は翌年以降3年間にわたって繰越して控除することが可能となります。

こちらも損益通算が可能な事業所得には認められますが、雑所得には認められていません。

青色申告特別控除

青色申告者である場合、事業所得や不動産所得から65万円の控除が認められていますが、雑所得には認められていません。

青色事業専従者給与

事業者と生計を一にしている配偶者その他の親族が事業者の経営する事業に従事している場合、これらの人に給与を支払うことがあります。

これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、下記のような一定の要件を満たした場合に、青色事業専従者給与として事業所得の必要経費に算入することができます。

①青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
②12月31日現在で年齢が15歳以上であること
③青色申告者の営む事業に専ら従事していること

なお、雑所得の場合これらの給与は必要経費とはなりません。

貸倒引当金の設定

事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者は、事業の遂行上売掛金、貸付金など債権が発生します。

それらの債権の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金として経費計上した場合、その金額は必要経費として認められます。

雑所得のメリット

事業所得は、多くのメリットがあるため事業所得に分類されるように努力される方も多いと思いますが雑所得にもメリットはあります。

一番のメリットは申告がシンプルであること。

事業所得の場合は正確に帳簿をつけるなど手間がかかります。

また、雑所得か事業所得かで判断が分かれそうな場合に雑所得として申告することは、事業所得の場合よりも税金が多くなることはあっても、少なくなることはほとんど考えられません。

税務署から事業所得の区分で税金を再計算するように指摘される可能性は非常に少なくなることもメリットといえるかもしれません。

最後に

事業所得か雑所得かの判断は専門家であっても迷う局面はあります。

事業所得として確定申告する場合は、税務署に対して十分な説明を行える体制を整えておくことが重要となります。